天国と地獄と天極
4月のある日、私たちは出会った。
出会った場所は、ここ。
その日の夜、私たちは、文字で抱き合った。
私は、まるで、彼の腕に抱かれてるかのような錯覚に陥り、
スマホの向こうで、初めて、真剣に見つめた彼の顔は、
想像してたより、コワモテだったにもかかわらず、
私のことを包み込むような深い優しい目をしていた。
文字も、言葉も、もう必要なかった。
その目に見守られながら、
私は、頂点に達した。
なぜ、こんなに気持ち良いの?
夫のいない夜に、こんな悪いことをしている私は、
きっと地獄に落ちるわ。
すると彼は言った。
地獄なんて無いよ。
天国、いいや、天極に行くんだよ。
それから、私の中に、地獄という言葉は、どこにも無くなった。
彼に抱かれた末に、私がたどり着くところは、天極。
でも、ふと我に帰った時、
ダブルベッドに横たわっている私は、紛れもなくひとりぼっちの女であった。