私と彼の秘密 その後

母,妻、そして女。

夜の散歩

午後7時。

 

いつもの通り、犬を連れて出発する。

 

もう、LINEが来ることをいちいち確認しなくてもいい。

 

彼からは、来ないから。

 

通知オフにもしなくていい。

 

鳴らないから。

 

非表示にしなくてもいい。

 

後ろめたい事は、もう何も無いから。

 

 

 

 

 

ブログでも書いて歩こう。

 

歩きスマホは、いつの頃からか、私の散歩スタイル。

 

どうせ誰も来ない。

 

車も来ない。

 

でも、そのうち水路にハマるかも?

 

土手の斜面を滑り落ちるかも?

 

 

軽トラが、ギリギリ通る田圃の中の道は、緩やかにカーブをしたり、曲がったりしてるから、

 

暗闇の中では、特に注意が必要なのに、

 

あえてブログを書きながら歩くのだから、

 

危険極まりない。

 

誰か、叱ってよ。

 

 

 

やがて、

 

グランドの横に来た時、思い出した。

 

 

2月の真冬の夜に、ここにうずくまって、

 

彼と繋がるのを待っていたことを。

 

待っていたら、

 

いきなり、断りもなしに電話が鳴った。

 

電話を待っていたとはいえ、強引なやり方。

 

そんな事でも、ときめいた。

 

もう…元には戻れないの?

 

彼に聞いた。

 

戻れないよ。

 

私は、あなたにフラれたのね。

 

そんなつもりはないと言うけれど、フラれたのと同じことだよ。

 

だって、

 

いきなり、卒業するとか言ってさ。

 

しばらく電話はできないよ。

 

っていうのは、もう電話はしないよ。

 

って聞こえるし、

 

 

用事があったら、LINEする。

 

っていうのは、用事もないのにLINEしないから。

 

そんな風に聞こえるよ。

 

 

 

 

あの夜のグランドの中の自分の姿が、もう、こんなに懐かしい。

 

まだ、未練を残してる。

 

 

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